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特集:医療法人 高徳会 上牧温泉病院



上牧温泉病院の概要と入内島先生の経歴

 FEATURE01 特集:医療法人 高徳会 上牧温泉病院

 当院は昭和56年に私の父親が開設しました。もともと温泉旅館だったところを温泉治療にシフトして始めたのがきっかけです。そのころ私は子どもだったのですが、ドイツに温泉と住  

居と病院が一緒になった施設があるということで視察に行き、そこから着想を得てつくったという話です。現在は大学病院と提携して運動器の治療を主軸に、整形外科とリハビリ、内科、それと併せて高齢者医療に取り組んでいます。
 僕自身は、群馬大学を2002年に卒業後、日本大学整形外科に入局して2013年から当院で整形外科医として勤務しています。ここ数年、手術の件数が多くなっていて、膝の手術は年間で200件から250件ほど行っています。僕が大事にしていることは、地方にある病院だからこそ、特殊な技術、特殊な存在感を世に出さなくてはいけないというスタンスで、患者さんが僕たちに与えてくれたデータに関して社会に還元するということを一つの柱とし、学術的な面で学会発表や英語論文など積極的に取り組んでいます。

膝の痛みの原因

 日本人で膝に痛みがある人は約3000万人いると言われています。おおよそ4人に1人は膝が痛いという計算です。これは子どもを含めた数字のため、おそらく高齢者では2人から3人に1人は膝が悪いという状況ですね。なかでも一番多いのは、変形性膝関節症です。それには程度があって、だいたい50代から膝が徐々に悪くなっていき、今、女性の平均寿命が90歳に近づいているので、そういう意味でどんどん膝が悪くなっていきます。高齢化が進むにつれて、人間の体を維持できる期限

というものを超えてしまうのでしょうね。
 変形の原因としては、例えば農業をやられていたり、和式の生活スタイルもあまり膝には良くないです。O脚や肥満、女性であることもリスクを高めます。もちろんケガで半月板や軟骨を痛めたり、あとはスポーツで膝の筋を痛めてしまう人もいますが、やはり膝の変形による痛みで来院する人が圧倒的に多いです。

治療方法と人工関節手術

特集:医療法人 高徳会 上牧温泉病院

 変形の程度によって段階が分かれます。初期であれば、リハビリ、薬、注射で改善しますが、中期から末期に関しては手術が必要になってきます。まずはリハビリを行ってみて、それでも痛みが取れない場合は段階的に手術を勧めています。末期の変形でほかの治療では良くならない人には人工関節がいいでしょう。

 人工関節というのは、骨を完全に削って金属と、軟骨の代わりになるポリエチレンに替える手術です。基本的には虫歯の治療と一緒で、悪くなった虫歯はいくら磨いても治らないように、悪くなった軟骨にいくら注射をしたり、リハビリをしても治りません。そうなった時には悪いところを全部取り除いて金属に替えてあげる、歯と同様にインプラントにするということですね。そうすることで骨から来る痛みが取れて、O脚もまっすぐになります。膝のバランスが良くなると、腰のバランスも良くなり、姿勢も良くなります。膝を治すことから全身状態を良くしてあげて、外に出られるようになれば心肺機能の改善も期待できます。
 簡単な手術ではありませんが、片膝で1時間半ほどです。多いときには1日に5件くらい手術をします。当院の場合は大学からも先生をお呼びして4人くらいで手術をするので、両膝でも2時間程度。両膝同時の人工関節手術ができる病院はごくわずかです。やはりご高齢の方が多いので、体にかかる負担を減らしてあげることも重要です。両方を一緒に行えば、麻酔の回数も1回で済むし、手術の回数も1回、時間も短くて済みます。

手術後のリハビリ

 最近は術後の安静期間をなるべく取らないようにしています。手術の翌日からリハビリが始まり、早ければ午後には立つ人もいます。数日以内に車椅子は卒業してもらい、杖をついて歩く練習や階段の練習までをして、3週間くらいには退院できるような流れです。その後は外来でリハビリに通ってもらいます。もちろん手術をしただけでは良くはなりません。やはりリハビリが一番大事。術後の半年間が勝負です。半年でめどが立ったら、その後は個人にお任せしています。
 当院では必ず3カ月ごとに筋力がどのくらい回復するのかを

機械で測定していますが、半年リハビリをすれば、術前と同じくらいに筋力は戻って来るし、術前よりも向上する人も結構います。そこはもうその人の頑張り次第。院内には若くてやる気のあるリハビリの先生たちが約30人在籍していて、一生懸命指導してくれるからみなさんもやる気になるでしょう。リハビリの先生たちがすごく頑張っているので、僕も安心して手術ができます。整形外科のいいところは、みんな元気になってくれることです。目に見えてよくなってくれるから、それがやりがいでもありますね。

膝の痛みを抱えている方へ

 膝の変形には段階があるということを理解して、自分が今どこの段階なのかをかかりつけ医と相談してもらい、段階にあった治療ができるといいですね。手術は怖いからやりたくないという気持ちもあると思いますが、何かをしようと思った時に、例えば「バス旅行へ行こうと思ったけれど、膝が痛いから人に迷惑をかけてしまうかも」とか、「買い物に行きたいけれど、膝が痛いから辞めておこう」とか、膝によって自分の生活が支障されるのなら、その時は手術をした方がいいと思います。
 痛みの感じ方は人それぞれで、極限まで頑張る人もいれば、早期に手術を希望する人もいますが、日本人の多くはそんなに我慢しなくてもいいのに、限界まで我慢しています。手術をする前は皆怖がるけれど、手術をした後には「10年早くやればよかった」という人が多いのも事実。曲がった膝を伸ばしてあげることは僕らはできるけれど、寿命は延ばしてあげられないし、痛みを我慢していた10年間を取り戻してあげることもできません。ですから、ご高齢であっても80代ならば手術をしてもいいと思います。平均寿命を考えれば、そこで諦めてしまうとその先の10年があるわけですから。もちろん術前の検査をしっかり行った上で問題がなければの話です。

 あとは、「手術をすると歩けなくなるのでは」とよく質問されます。当院は1000件以上の実績がありますが、歩けていた人が歩けなくなることはまずありません。けれど、術前に歩けない人を歩かせてくださいというのは難しい。これは膝だけの問題ではないので、全身のリハビリをして、少しでも歩けるようにしてから手術ということになります。いずれにしても、医師とよく話し合って、ご自分が納得したうえで手術を受けるということが大事ですね。

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