介護特集

TOWN介護 FEATURE01

特集:桐生厚生総合病院



桐生厚生総合病院の特徴と連携

 FEATURE01 特集:桐生厚生総合病院 岡田 桐生市は人口減に加え高齢化も進んでいます。超高齢社会の中で、いわゆる急性期の一般病棟と回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を設けて地域のニーズに応えて構成されています。そのため急性期、慢性期、回復期が混在し、さらに終末期の方もいらっしゃいます。バランスが難しいのですが、桐生地域唯一の公立基幹病院ですから、その存在意義を噛みしめながら医療をしております。また各部署の皆さんが努力をされて、退院時のさまざまな流れを作っていただいています。
粕川 当院では周産期にも力を入れ、出生から看取りまで幅広く対応しています。その中で連携室としては、周産期のさまざまな問題を抱えた方のサポートから、がんの対応や在宅に行かれる方の支援などで、ソーシャルワーカーと退院調整看護師が介入をして支援させていただいています。
藤生 入院には在宅からも施設からも来られますが、皮膚に関して言えば褥瘡で来られて、元の場所に帰るとなると必ずしも看護師さんがいるとは限らないので、帰られた後もケアができる体制に調整していくことが大切になります。施設のスタッフやご家族にケアを覚えていただくための手技指導をしたり、退

院前のカンファレンスをしたり、栄養面も合わせてケアすることが大切ですので、先生や看護師さんと協力して話し合ってから帰られます。いろいろな方との連携が大切で、そこは心掛けているつもりです。
岡田 やはり患者さんにとって正しい情報を伝え合うために、このような仲立ちの役は私たちにとって重要です。退院前のカンファレンスは褥瘡の直接のケアがあるので、WOCナースの大谷内さんと一緒に施設の職員、看護師、ご家族にも正しく伝えてご協力をお願いするのも大事なことです。人と人が顔を合わせてカンファレンスすることが引き継ぐ時には非常に大事ですね。
粕川 急性期病院としては、在院日数が短くなっているなかで、やはり病院では完結せずに在宅でケアを継続することが非常に増えています。褥瘡に限らず、難治性の創傷やストーマを造設された方のケアなどが継続されていくので、そこでの関わりがあります。
大谷内 ストーマの方も多いですね。家族指導もそうですが、ご本人がどこまでできるかによって、ご希望に応じたケアの指導や、訪問看護師さんにも来ていただいて、在宅にいかに帰られるかの話し合いを設けることもあります。全部をお任せするのではなく、ご自身でできることを伸ばしてあげて、それで帰すのがベストだと思っています。

高齢者の皮膚のケアや注意点

岡田 皮膚は加齢によって脆弱になります。生理的な機能が落ちて水分が保持できなくなり、乾きやすくなります。介護の中でも、ちょっと強く手を握ったらベロっとむけてスキン-テアという状態になったり、軽い打撲でひどい血腫になったりとか、皮膚も血管を作る結合組織も弱くなるので、愛護的に扱わなくてはいけません。そのうえで、スキンケアをしている時に、保湿や清潔など日常でやるべきケアの指導や啓発も大事なことです。
大谷内 皮膚の裂傷のことをスキン‐テアと言うのですが、紫のあざになってしまうような高齢者の脆弱な皮膚の方によく起こることです。医療的にはテープなどをはがす時に、皮膚がひと皮むけてしまうことがあります。ほかには車いすのフットレストに脚をぶつけたことで皮がむけたり、意外と多いんです。昔は褥瘡との区別ができていませんでしたが、最近は概論ができてスキン‐テアとしてみています。ケアの仕方も難しく、普通のテープやガーゼだと皮膚がはがれて悪循環になってしまいます。専用のテープを使うのですが、ない場合は軟膏をたっぷり塗るように指導しています。高齢者はドライスキンなので保湿が大事です。必ず1日2回保湿薬を塗るように指示しています。
藤生 テープを貼ったり、オムツをしているだけでもかぶれてしまう方もいらっしゃるので、そういう方の場合は、連携する

際に気を付けるようにお伝えしたり、状態確認で来ていただければ見てもらうこともあります。
岡田 オムツをしていると失禁しているので、失禁関連皮膚炎ができることが多いです。その管理をしっかりしないとトラブルが起きてきます。最近注目されていて、失禁だからしょうがないではなく、オムツの中や失禁そのものの管理も大事で、泌尿器科の先生とチームを組んで尿の管理もやっています。
大谷内 排尿ケアチームもできて、1週間に1回院内をラウンドしています。
岡田 高齢者ゆえのいろいろなことをそのままにしておかないという、世の動きがあるのでしょうね。予防というのはどんな疾患でもそうですが、リスクがあるならいかに守るかという部分に私たちも力を入れています。どの領域でも今の流れはそうだと思います。予防のためにはまず知識がなければいけません。

褥瘡の様子

褥瘡になった場合のサポート体制

岡田 軽い褥瘡であれば、全身の状態に何ら影響はないのですが、重度になると肉体的な侵襲、ストレスにもなりますし、栄養状態が悪くなって、全身に悪く働くようになります。傷があることが体の負担になるんですね。そこにリスクとして細菌感染を起こすと、免疫力も落ちていますから、局所だけの感染にとどまらず、敗血症になって生命の危険性もありますし、骨を壊して中にばい菌が入ってしまえば、骨髄炎にもなり、治療が難渋します。そうなってしまうと全身管理が必要です。褥瘡主訴では入院を受けない病院も多いと聞きますが、それでは地域のニーズに応えていないと思うので、自分たちでできる範囲の重度褥瘡であれば、可能な限り入院で引き受けさせてもらいます。
藤生 救急で運ばれてくる患者さんで、普段はお元気だったのに突然脳卒中で倒れて、独居で発見が遅れて。そうすると、ほんの数時間でかなり深い褥瘡ができてしまいます。そういうことで発見してからすぐ皮膚科に連れていくことがあります。
岡田 褥瘡は、骨と皮膚の間が自らの体重で圧迫され、血流が阻害されて深部が壊死してしまうんです。皮膚は一見大丈夫でも、ひどい褥瘡になっていることもあります。意識不明で動けないと、上を向いて倒れていたら背骨や仙骨に、横向きなら骨盤の脇の腸骨だったり、いろいろななところにできるので、早めにその兆候を見つけて対処しないといけません。ただ、急性期病院は原疾患があって運ばれてくるわけで、病気にとらわれていると褥瘡に気づかないので、救急外来ではなるべく意識をしてもらっています。また、高齢者の発熱は褥瘡の場合もあるという意識を持って気づいてもらうことも大事です。
大谷内 夏に多かったのは熱中症なんです。独居で倒れていて運ばれてきて、いろいろなところに褥瘡ができていたケースが多かったですね。
岡田 いかに予防するか、いかに早く気付けるか、どこで適切な治療が受けられるかということですね。発生する危険因子があって、そこをいかに評価するかが大事な気がします。例えば寝返りができない人なのか、拘縮があるか、低栄養なのか、浮腫があるかどうかなど。リスクを考えて、それに対する予防策

を知識として提示して、その場にある社会資源をいかに使うかということにあると思います。エアマットを入れていても、不適切に使えば予防にならないわけで、そういった知識も持ってもらいたい。
粕川 栄養管理と清潔管理もセットなんですよね。そこがしっかりできていないと、エアマットをいくら入れても予防にも治療にもならないので、栄養と清潔管理もきちんと継続できるように、退院で在宅に行く方は、うちの連携室できちんと整えて在宅につないでいます。
大谷内 介護現場でも在宅でも利用できるケアとして指導しているのがスモールチェンジです。タオルを丸めたものをベッドのマットの間に数カ所入れて、それを時間で入れ替えていきます。向きが変わったり血流の状況も変わるので予防になります。
粕川 連携室の主催で褥瘡の予防やケア、ストーマの管理などをテーマに、介護の方やケアマネさん、訪問看護師さんを対象にした地域医療勉強会を定期的に行っています。また一般向けで市民が自由に参加できるハッピー健康相談室では、スキンケアについて季節ごとに行っています。
岡田 出前講座はけっこう需要があって呼ばれるのですが、主に認定看護師さんが出向いてお話をしています。毎回褥瘡やスキンケアではありませんが、さまざまな病院・施設の理想的な環境を目指し、威力を発揮できるよう努力しています。

桐生厚生総合病院 桐生市織姫町6-3 ℡.0277-44-7171