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特集:医療法人中沢会 上毛病院



 FEATURE01 特集:医療法人中沢会 上毛病院

上毛病院の主な特徴

服部 精神科の病院ですが、内科・外科・整形外科の常勤医と、認知症疾患医療センターを設置しています。特徴としては、認知症の診断と治療、認知症の方でも幻覚妄想状態のある方、せん妄の方、一般病院では対応できない方々の治療を担当し、老人の精神疾患を広く受け入れています。患者さんの精神・身体の両面を診ながら、最終的に社会復帰、家に戻れるように理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリを導入しています。



認知症疾患医療センターの役割

武井 認知症の鑑別診断が大きな役割です。地域のかかりつけ医からご紹介いただいて、当センターを受診していただきます。
服部 多職種連携による地域包括ケアシステムの中で、認知症に関わるドクターや訪問看護、認知症初期集中支援チームなどがありますが、やはり核となるのはかかりつけ医です。なぜかというと、行政などによる検診にかからない独居老人はたくさんいます。

そんな見えない人たちもかかりつけ医にかかっています。そのかかりつけ医のバックアップ体制として認知症疾患医療センターがあります。鑑別診断が重要なのは、実は認知症ではなくうつ病といった「治る認知症」があるからです。正しい診断がついたら必要となるのが介護力です。効く薬も多少はありますが、医者にできることは限られています。我々が診断をつけてかかりつけ医へお返しして、患者さんが孤立化しないように方向付けしていくのが医者の役割です。

介護施設の連携と取り組み

福田 認知症疾患医療センターでの治療が終わった方が老健に入所したり、家にお帰りいただいた方が、通所リハビリやショートステイをご利用いただく際に、地域の方とも連携し合いながら我々が関わっていきます。また、入所の際アセスメントをし、自宅以外、居宅等とされる施設に移れそうな人の場合は、入所後も受け入れ先となるであろう施設でどんなケアをしたらいいか検討し、ケアプランを作成し支援します。退所時には、情報提供をしたり、退所後も様子を見に行きます。ですから安心して入居していただけますし、受け入れる施設側も安心してケアを継続していただけると思います。 一番大変なのは入所時ですね。環境が変わることによってご本人が混乱されるので。ご理解いただいて来てくださるのですが、だまされたとい

う思いになる方もいらっしゃいます。入所後は介護職員の丁寧な対応によって、日に日になじんで落ち着いた生活ができるようになる方がほとんどです。私は支援相談員も兼任していますので、現場の職員とご家族の緩衝剤になれるように心掛けています。

介護施設の連携と取り組み

老人心理を知るということ

服部 当院には家や施設で看られないという方が相談に来ます。逆に家で看たいという方には、外来で診ていくこともできます。せん妄などはご家族に薬のコントロールができるように説明し、毎日の電話で状況を聞いたうえで指示を出すなど、オーダーメードの対応でうまくいくことも多々あります。それは認知症のご本人にとってみると家が一番いいからです。  ケアする人の問題行動もあるわけで、認知症の方の言い分もあればご家族の言い分もあります。認知症を抱えた家族が追い詰められていく中で、手に負えなくなって入院すると、8割がたは介護力ですうっとよくなります。そういう方は環境がうまくいってなかったからです。あとの2割はせん妄や幻覚妄想状態で、薬の副作用で暴力的になっているなど、医学的な治療が必要な人もいます。頑張りすぎると家族の対応がねじれてくるから、顔を見るたびに腹が立つわけです。 そこで大事なのが老人心理を知るということです。まずひとつに、いろんなものを失っていきた。配偶者や仕事、地域の友だち、施設に入る時には家まで捨てて来ているのです。2つ目に孤独である。回りに

人がたくさんいても、私のことは知らない、皆で歌を歌っていてもポツンと1人でいる孤独感が非常に強い。3つ目に、もう死ぬかもしれない、明日生きているんだろうかと、不安で夜になると1人涙を流す。4つ目が、それでも私はキラキラ生きていきたい。というのが老人心理です。これを外来の認知症の高齢者にぶつけてみると泣かれるんです。ある方はご家族も涙を流されて、そこから介護も変わり、認知症の方も落ち着かれました。言葉で「ありがとう、大好きだよ」と伝えてハグをして。やはり支える優しさと言葉が大事だと思います。  人間の脳の扁桃体という部分は、好き嫌いの感情を判断し、視覚と記憶を一瞬で結びつける機能があります。認知症の人でも良い悪いがわかります。記憶がなくて忘れていても家族の顔は覚えていて、いつも注意をされていると、顔を見ただけで嫌になってくるわけです。これらを踏まえ、家族の思いと認知症の人の間に立ってコーディネートしていく。最新の脳科学を根拠に、私たちは対応しています。

もし悩んでいたら早めに相談を

服部 迷っているなら、まずは診断を受けて、今後の方向性をつけて、暴れたり調子を悪くして困っているなら家族から離して、家族はあまり大変な状況を見ないようにしたほうが幸せだと思います。大変な時は他人に任せる、それでも大変な時はこういう病院があるので、段階的にセーフティーネットを利用していくことです。施設も含め、やはり大変なら早めに医療機関を受診させて無理しないことです。ですから、認知症疾患医療センターに直接相談していただいても全然問題ありません。
武井 やはり早めの相談ができればいいですね。ご家族は病院に電話をするのが敷居が高く感じられたり、特に精神科は、昔のイメージが根強く残っているようで一歩が踏み出せず、ご家族だけでは相談がしにくいこともあるようなので、今回の記事のような発信も大事ですね。「病院は待っているだけではだめ」と、よく先生もおっしゃいますが、地域に働きかけて発信していかないと認知されないですから。
服部 地域のネットワークづくりが進むなかで、民生委員さんや地域包括支援センター、かかりつけ医、あとは行政などにとにかく相談してほしい。難しい症例の場合は精神科のある当院に紹介してもらっています。

武井 年間で認知症の方の入院は150~160件ほどあります。在宅、施設合わせて、約7割の方が地域に退院されています。
服部 1人の人間を家族を含めて看ていくということで、医療、介護、福祉と中身が濃いです。
患者さんもご家族もどうやって幸せになっていただくのかと考えると、やはり認知症をよく知るということです。回りの人と仲良く、隠さずオープンにして、地域力を高めていければいいですね。

医療法人中沢会 上毛病院