介護特集

TOWN介護 FEATURE01

特集:渋川市の介護の現状や取り組みを語る

座談会では地域連携、家族間の関わり、
地域の高齢化、看取りまでおよび、話題豊富で話は尽きません


尾方 渋川には「在宅ケアネット渋川」というネットワークがあります。医師会、歯科医師会、薬剤師会からなる三師会が中心となり、多職種による勉強会が開かれ、そこに参加させてもらっています。医療・介護・福祉が集うこれだけの規模の会はほかを見てもなかなかないと思います。その一環として、村上さんが主体となって年に一度の懇親会を行っています。各事業主の営利が基本にありつつ、アルコール付きで気さくに話し合いのできる貴重な情報交換の場です。

村上 懇親会では介護保険の事業者さんやケアマネさんなど各事業所に案内を送って、多いときは80人集まります。

山中 実は私も懇親会に参加させていただきました。弊社が28年運営して初めてのことです。非常にフレンドリーな会で地域交流が継続されていることがよくわかる会でした。

尾方 狭い地域なものですから、顔がわかる関係づくりが一番いいのでしょうね。

山中 自分がいた事業所は従業員数1万人、入居者数1万5千人、300施設もあり、すべてが事業所内で完結できていました。今働く弊社の様な小さな事業所は特に地域の方と情報の交換、連携を取らなくてはなりませんが、それが楽しくもありとても新鮮ですね。同じ方向を向いて、地域の課題をチームとなって解決できたらと感じています。地域交流の延長として、入居検討者に良いと思える他施設の「ウリ」を伝える。うちは今満室だけれど、他施設はこんな取り組みをしていて、あの施設のこんなところがいいですよと。それが地域で取り組めれば、高齢者に寄り添った地域になると。

村上 そういう意味では、私どもの施設に入所申し込みに来ている方に関しては、受け入れ先を自分たちの持っている情報の中でつないでいくので、失礼ながら御社の施設はそこにあるの

に、どうも様子が見えないからと紹介するまでには至りませんでした。ようやく接点が持てたのでこれでアナウンスしてまわれます。

山中 ありがとうございます。

村上 特別養護老人ホームの場合は特に重度の方が多いので、ご家族の名前も顔もわからなくなるとご家族の足が遠のいていきます。そこでいかに日常の情報を伝えていくことや関わっていただける場面を作れるかがポイントになりますね。看取りも含め、最期をご家族とともにケアしていけたら。施設に任せたまま亡くなるより、自分たちが手を掛けられて最期を迎えられたね。という思いになってくれたらうれしいですね。

尾方 どこで最期を迎えられるかということは、これからそれぞれが考えざるを得ないテーマだと思います。いずれ病院で亡くなる人はごく限られた人しかできなくなると思うんです。施設や在宅、ケアマネさんも含めて、どこでも看取りができる地域を作りたい。それには地域で支え合う専門職種や環境が必要で、そこで一番頼りになるのはケアマネさんですね。

諸田 これは非常に難しい問題ですね。施設で看取る、在宅で看取ると話し合いがなされていても、最終的につらくなってご本人が病院を選ぶケースもあれば、ご本人が在宅を望んでいても、何か手立てがあるものならと、ご家族の判断で緊急搬送するケースもあります。

村上 高齢者の足の問題ですが、移動手段の一つとして渋川市社会福祉協議会が「あいのりタクシー」を行っています。地域の高齢者がタクシーに相乗りしてスーパーに買い物に行くという事業です。料金の一部は店舗と社協でも負担するので1人500円程度と割安で、地区がどんどん広がっているようです。全国的にも珍しいと聞いています。

社会福祉法人永光会の取り組み

 永光会は昭和61年に法人が設立され、旧渋川市で初めての特養として「特別養護老人ホーム永光荘」の運営をスタートさせました。その後、旧渋川市からデイサービスセンターの委託、さらに在宅介護支援センターの委託を受け、在宅も含めた役割を担わせていただいた経緯があります。介護保険制度の開始後はさまざまなサービスが大きくなる中で、社会福祉法人として地元で安定感のある事業を目指し、地域とのつながりを大切に進めてまいりました。平成26年に渋川市から「特別養護老人ホーム清流の郷」の有償譲渡を、昨年度には地域包括支援センターの委託を受けました。これまで以上に地域との関係性を密に、ニーズに対してどう応えられるかということに重きを置いて、民生委員さんや自治会の方々と情報交換をしながら、永光会に何ができるのかを進めているところです。 今年初めてインドネシアの留学生を介護職として採用しました。利用者さんがどう捉えるのか心配していたのですが、むしろ利用者さん受けがよくて。どうしてかと言うと、日本語の日常会話は

社会福祉法人永光会 業務執行理事 村上忠明さん
◆社会福祉法人永光会
業務執行理事 村上忠明さん

問題ないのですが、「真剣に話を聞こう、伝えよう」と真摯に向き合い、コミュニケーションの基本を自然に実践し、とてもいい笑顔をしています。基本に立ち返ることの大切さを彼らから学ばせてもらいました。

シオンコスモス社の取り組み

 シオン・コスモス社は、介護保険制度が始まる約10年前となる平成3年に、「地域の皆様に寄り添い、見る介護ではなく看させて頂く介護」を理念とし、高齢者複合サービス「シオンの里」を立ち上げました。同年ナーシングホーム白井城を開設、平成23年にサービス付高齢者住宅ベテスダホーム白井城、翌年に白井城デイサービスを設立し28年目を迎えた民間企業です。  私は介護業界に20年ほど従事し、平成30年に入社しました。赴任して先ず始めに入居者分析を行ったところ、県外からの利用者数が多く、地域に根付いたサービスは出来ていない状況でした。そこで原点である「地域の皆様に寄り添う」ことへ立ち返り、近隣病院からの積極的な受け入れ、地域のケアマネさんからのご紹介などによって、現在、県内比率は100%に近い状況です。そして、何より職員ひとり一人が、部門外の課題にも「当事者意識」を持って向き合い、解決することで成長し深化しています。その事例の一つとして、11年間空室があったナーシングホーム白井城は、各部門ひとり一人が「当事者意識」による行動によって、半年で改善され、地域の

株式会社シモンコスモス社 取締役 事業本部長 山中真二さん
◆株式会社シモンコスモス社
取締役 事業本部長 山中真二さん

皆様から選ばれる高齢者施設に生まれ変わり満室となりました。この速さには私も驚かされ、職員は達成感を得られたと思います。この達成が最も重要で、今後に必ず活かされます。職員には長く働いてもらうためのワーク&ライフバランスの重要性を強く認識しています。

ソーシャルワーカーの視点から

 私はこの3月末まで37年間、国立医療機関でソーシャルワーカーを務めてまいりました。私が就職した当時は介護保険はもちろんありませんし、ケアマネさんもいませんし、社会福祉士及び介護福祉士法もありませんでしたが、患者さんを地域に戻すために何をしたらいいか、ということは昔からやっていたんですね。当時と比べると社会保障や制度は格段に進み、施設も充実しましたが、何かが置き去りにされ、どこか空洞があるような気がしてなりません。それは何か考えると、家族との接点が希薄になっていると患者さんを見ていて感じました。単独世帯や高齢世帯が増え、お年寄りが一人で入院して、一人で退院していく。昔とは違うさみしさがあります。病院に行きたくても足がない、連れて行ってくれる家族もいないとなると、在宅で受けられる医療がもう少し発展すれば、安心して住みやすい地域ができるのかなと思いますが、地域のドクターたちも高齢化しているんですよね。同じ連携でも医療と介護だけでなく、

◆前 渋川医療センター 医療福祉相談室長 尾方 仁さん
◆前 渋川医療センター
医療福祉相談室長 尾方 仁さん

生活全般のかゆいところに手が届く地域づくりができればと、今までお世話になり培った関係性を、これからどう役立てていくべきか模索しています。

ケアマネジャーの視点から

 ケアマネの事業所を開設して3年が過ぎたところです。尾方さんとは昭和62年からのお付き合いで、その時はケースワーカーと看護師という間柄でした。平成13年に第二期の試験でケアマネを受け、最初は老健施設のケアマネをやっていました。看護計画のうえに生活がプラスされるということで、サービス計画作成にはスムーズに入れたと思いますが、本来のケアマネ業務は在宅生活を支えるというところに気づき、施設の中の支援だけでは利用者さんの生活を支えることが難しいという気持ちが強くなり居宅の事業所に勤めました。私の場合はひとつの事業所に所属していると、さまざまなしがらみの中で思うように動けないことも出てきて、事業所の利益などの視点から本来必要なサービスが遠のいてしまうことがある経験から自分で立ち上げて現在に至ります。個々の利用者さんと関わると、尾方さんが話すように家族との関わりや移動の問題など常々思うことですけれど、いちケアマネの力ではどうにもできない部

◆居宅事業支援事務所 いろは 介護支援専門員 諸田眞澄さん
◆居宅事業支援事務所 いろは
介護支援専門員 諸田眞澄さん

分でもあります。社会の流れとともに核家族化が進んで、お年寄りも子どもたちに負担を掛けたくないという思いがあり、自ら施設を選んで入所される方もいらっしゃいます。