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特集:認定NPO法人 じゃんけんぽん

じゃんけんぽんは平成10年の「宅老所」の開設から始まりました。現在は認知症グループホーム・デイサービスや小規模多機能居宅介護、看護小規模多機能居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護などの介護保険制度に基づく事業と、高齢者等地域住民の居場所づくりや福祉有償運送、見守り配食サービス、地域通貨による助け合い活動などの自主事業の両輪で活動しています。その独自のスタイルで大きな成果を上げるとともに大組織へと成長し、全国からの視察訪問が後を絶ちません。このたび理事長の井上謙一さんに法人の活動についてたっぷりとお話を伺うことができました。

ニーズに応え続けて-一大組織を構築

認定NPO法人じゃんけんぽん
理事長 井上謙一さん
介護福祉士 認知症介護指導者
介護支援専門員 認知症ケア専門士


共生型社会を目指して

 「超高齢化社会において、誰もが避けられない加齢、そして高齢化について元気なうちから連続的に自助・互助・共助で支えるシステム作りを目指す。これを一体的に支え続ける法人であること」。これが、私たち法人の理念です。人は連続した人生を送っているわけですが、介護施設だけの運営では、介護が必要となったお客様を待っていて、その部分だけをケアしますということ。そうではなくて、その方の人生を一緒に支えていく、または支えられていくという互換性や相互性を大事にする法人です。もちろん子どもや障がい者もそうです。つまり、共生型社会をつくるということです。  住み慣れた地域、住み慣れた在宅の生活をいかに限界点ぎりぎりまで住み続けるということを応援するわけですから、介護保険事業もそこに特化しています。サ―ビスを受けるための転居や入所のように新たに住み替えるような作られた在宅ではなくて、本当の在宅。

一軒一軒離れていて生産性はよくないけれども、本人にしてみれば在宅が大事ですから。24時間、365日、一人暮らし、認知症、この4つのキーワードを順守して支えていくとなると、小規模多機能型か看護小規模多機能型、それから定期巡回型しかないわけです。看多機は全国でも伸び悩んでいて事業者数は300程度しかありません。群馬県では全部で7カ所のうちの2つを法人で持っています。定期巡回も伸び悩んでいますね。ケアマネの周知がまだ足りていないのが現状でしょう。  我々のすべきこと、その理念に沿って本気になって覚悟を決めてやっています。最初は苦しいけれど、うまくいくと今度は事業になって、そうすると敏感な経営者が教えてくださいとやってきます。そんな連続で今があります。人の視点に立って、そのニーズに応えるために何をするかと考え、行動したらこうなったってことですね。事業ありきではないんです。

群馬で初の認定NPO法人

 コミュニティーカフェ「近隣大家族」は、誰でも気軽に立ち寄れる地域の交流拠点です。高齢者の介護予防のための活動やたまり場としての利用、居場所づくり、子供とのふれあい、趣味創作活動等の場を提供しています。施設で運動機能訓練をするのも介護予防だけれど、本当の介護予防は嫌々行くのではなくて、自ら来て役割があって、人のためになって、楽しく心からそこにいること。それを引き出すのがこの居場所です。利用者は年間8000人を超えるほどになりました。この共生型で常設型居場所をどうやって広めていくかが今の課題でもあります。  また新たなニーズに応えるために、居住支援法人の指定を群馬県で2番目にもらいました。それは何かといえば、高齢者や障がい者、生活保護者、外国人など保証人がいなくて住居が借りられない人たちの居住の支援を行う法人ですね。このように困っている人に対して応えようと毎年やっていれば、20年も経つと今のように広がってくるわけです。維持は大変難しいけれど、コミュニケーションを密に、信頼関係を高める

ことで何が大事なのかを分かり合って、決して諦めないこと。そこには経済的なものはついてこないですから。これらは不採算部門。介護保険事業所の職員が、私たちの給料を削って回しているのではないかという疑問も当然出てきますが、そんなことはしていません。ほかの法人に負けない賃金を支払っています。  2012年のNPO法改正によって、群馬県で初、全国で2番目に認定NPO法人を取得しました。法人税が軽減されるほか、寄付者は税制上の優遇措置を受けられます。それから、みなし寄付金制度も活用して、介護保険制度ではカバーできない、困っている人に手を差しのべられるようなインフォーマルな事業の財源をここから捻出しています。言うなれば第3のポケットですね。5年ごとの更新で、今年で7年目。3000円以上の寄付が毎年100人以上集まらないと消滅してしまいますが、ずっと継続できています。それだけ寄付があるということは、我々の活動に対して賛同してくれているんだと実感しています。

これから取り組むべきこと

 鍵となるのはリハビリ職ですね。在宅に行った時、その方の動線や配置などを俯瞰して見ることが大事です。問題点に気付かずに見過ごすと具合が悪くなって、結果的にターミナルへ送ることに。そうならないように、リハビリ職を入れて在宅の利用者さんの環境をぜんぶ調査しているところです。在宅で住みやすくなるための環境改善を福祉用具や住宅改修も含めて介護職と連携を図ってやっていこうというのが今年の取り組みですね。それから、高齢者の命にも大いに関わる誤嚥性肺炎をケアでどう予防するか。これもリハの視点です。諦めずにずっと口から食べられるように、利用者さん一人一人を見てあげることもやっていこうと思っています。看多機をやっているおかげで、訪問診療を受けてくれるドクターがいることも心強い。医療と介護の連携という言葉上のものではなく、実際にリアルタイムな連携が行われています。在宅の生活の限界点を上げるということがこれからの命題で、地域包括ケアシステムのど真ん中。在宅の看護師、在宅の医師を増やして行く。これしかないでしょう。もうひとつの視点として介護予防。要介護状態にな  

らないようにする、またはそれを遅らせること。まさにこの両輪をやっていくことだと思っています。

認定NPO法人 じゃんけんぽん
認定NPO法人 じゃんけんぽん
高崎市棟高町954-8
TEL.027-350-3191
http://www.jankenpon.jp