介護特集

TOWN介護 FEATURE01 群馬県内の高校生の活躍
TOWN介護 FEATURE01

多職種連携による認知症ケアと予防

それぞれの特徴・強みを教えてください

穎原 東毛敬愛病院は、東毛地域の認知症の医療を担う認知症疾患医療センターとして、県から指定を受けて活動をしています。認知症の専門相談窓口があり、認知症の方の診断、症状が悪くなった時の対応、地域の啓発活動や人材育成などを担当する医療機関として指定を受けています。そのほかに、認知症カフェや介護予防教室などといった、他の地域のセンターでは行っていないような活動も精力的に行っています。

塩澤 ケアマネの事業所という立場で言うと、リハビリスタッフが多く在籍する事業所で、特に回復期から在宅復帰のケアマネジメントが専門です。すべてのサービスがそろっていないことも長所と捉え、自分たちだけで抱え込まず、他の事業所と連携をうまく取りながら、その方に適したサービスを提供していくという特徴があります。在宅での認知症の方が非常に多く、老老介護や独居が増えていく中で、その方の生活の組み立てやアドバイスができる経験豊富なリハビリスタッフがいるのも強みの一つです。

那須 太田記念病院は、東毛地域の3次救急医療として急性期を担っています。私は病院の看護師として訪問看護の部署に属していますので、医療の面で手厚い看護が提供できます。病院内の認知症の認定看護師や認知症専門士に相談したり、地域

の在宅医療の先生方とも連携し、お力をいただいて病院からスムーズに在宅へ帰れるように、つなぎの部分を担当しています。穎原先生のところにも私が訪問する患者さんがお世話になっておりまして、よく相談に乗ってもらっています。

大川原 私どもの施設は一般棟49名、ユニット棟16名、計65名の入所者を迎えることができます。ほかに訪問リハビリ、訪問看護、通所サービスとして事業所も併設しています。在宅復帰の老健施設ですので、リハビリ強化型の運営をしています。リハビリの中にも認知症の短期集中リハビリがあり、その中で認知症治療に関してのお手伝いをしています。施設長が医師のため、常勤しているところも利用者さんへの安心につながります。

照井 私たち薬局は、処方箋に基づいた調剤をする中でも、患者さんのアレルギー体質などを個別に確認しながらお渡ししています。高齢者は多科受診で薬の量が増えてしまうことや残薬にも注目し、先生へフィードバックして相談しながら調剤しています。食事やサプリメントといったセルフケアのアドバイスや在宅の場で薬の調整もしています。最近ではかかりつけ薬剤師も始まっていますので、患者さんに寄り添える形を考えています。

認知症ケアへの取り組みと連携

穎原 認知症は罹病期間の長い病気です。その時の経過状況でいろいろな困り事や悩み事や種々の問題が表れてくるので、それぞれに対応できるような医療機関を目指していくことにしています。それから認知症ケアを「認知症の方の生活を支える」という言葉に置き換えると、診察室で待っているだけというわけにはいきません。認知症の啓発活動など、地域に出向いて講演をしたり、最近は市から委託を受けた「認知症初期集中支援チーム」というものがありまして、認知症の初期が疑われる方のアウトリーチ(訪問支援)活動をしています。地域で生活している認知症の方を診ていける体制を、この東毛で作っていければいいなと思います。そこで重要なのが多職種との連携です。多職種の人たちが連携できる仕組み作り、連携の具体化な方法、例えば合同で事例検討会や勉強会といった活動にも力を入れていきたいと考えています。

塩澤 先日、医師から「その方の在宅での様子を教えてほしい」と、直接連絡がありました。先生から声をかけていただけるというのはうれしいことです。またケアマネだけが在宅の様子をわかるのではなく、私たちはリハビリも介入しているからこそ、顔の見える事業所連携の強みで生きた情報をお伝えすることができます。このような橋渡し的な連携を実践していきたいと思います。私たちは群馬県地域ケア意見交換会で2か月に1回、周辺の訪問看護やケアマネ、病院リハビリスタッフなど集めて意見交換会を行っています。気軽に話せない多職種の方が集まって話す機会を作れるだけでも、いい連携のきっかけになるのではと1年半くらい続けています。

那須 訪問看護は医師の指示があれば、利用者さんの生活の場に訪問し対応させていただきます。病状を看ていくなかで、生活のちょっとした変化の気づきから、ケアマネジャーさんに状

態をお話したり、主治医に相談、報告をして在宅で長く過ごせるようにサポートできるような体制を取っています。また県や市や病院でも、認知症の勉強会を開催する時はスタッフもできるだけ参加して、現在の地域の情報を拾いながら、自分たちだけではなく主治医や専門の先生、行政等と協動しアンテナを張り巡らせて、より横の連携が取れるように頑張っていければと思います。

大川原 相談員は施設入所の窓口として関わります。まずは入院中の状況をお聞きして、認知症の症状確認をします。また施設職員が病院に足を運んで、ご本人の様子を見せていただき、お世話をする看護師に直接お話を伺うことで、施設でどのようなケアができるのか、検討材料にしています。そのうえで、穎原先生にお世話になり、まずは専門の医師からケアのアドバイスをいただいて対応しております。利用者さんを在宅に戻す際には、ケアマネジャーさんとの連携が大事なのですが、今回皆さんとお話させていただいて、薬局さんとの連携もできればと思いました。

照井 薬局でお薬を渡す時に、認知症の方の情報を得るのは難しいです。飲んだか飲んでないか忘れてしまいますから。私たちとしては、やはりご家族から情報を得るしかありません。できるだけご家族と寄り添いながら話を聞こうと努力しています。薬剤師はいつも調剤室で薬を作っていると思われていますが、施設や在宅に薬をお届けすることもあります。一緒にドラッグストアに行ってアドバイスもできます。先生からの指示があって、訪問薬剤指導として家に伺った様子を先生に報告したり、ケアマネジャーさん、訪問看護さんと伺うケースもあります。薬の管理はなかなか難しいのですが、何か私たちにもできるのではないかという状況ができつつあります。

多職種連携の重要性と課題

穎原 実は認知症の正確な診断は大変難しいのです。診察時間だけで得られる情報はごく限られていますので、ケママネジャーさんが所有する豊富な情報がとても頼りになります。受診に際しての情報提供はその点でありがたいと思います。正確な診断は正確な治療やケアの指針になります。

 多くの医療機関では、まだ訪問看護師さんの潜在能力や可能性について知らないかもしれません。在宅医療が進まないこの東毛地域でも、頼りになる訪問看護師さんと組めば、在宅医療の可能性を見出す医療機関は必ずあると思います。

 認知症は徐々に進行していく病気です。その中で唯一プラスの方向に変えられるのはリハビリ職の存在です。作業療法士さんや理学療法士さんには希望が持てる認知症ケアということで期待が集まっています。特に訪問看護師さんとコンビを組んだ在宅リハビリや、老人保健施設での短期集中型リハビリはとても有効だと思います。また最近は薬局も地域に積極的に入り込んでいます。かかりつけ薬局として服薬の指導、複数の医療機関から処方されている患者さんの場合など、飲み合わせや医療機関間の連携にも一役買ってくれます。

 このように多職種での連携が上手くいくことで認知症ケアはようやく円滑になります。認知症の人が在宅生活を続けたい、自分の望む生活を続けたいというのなら、多職種の地域資源を有効活用し、連携していくことが実現の近道なのではと思います。

東毛地域で活躍する医師、ケアマネージャー、訪問看護師、支援相談員、薬剤師の意見交換