介護特集

TOWN介護 FEATURE01

利用者の喜びと家族の満足につながる看取りに多職種連携で取り組む

特別養護老人ホーム音和の園は、光病院から週に一度回診に訪れる浜田先生のもとで、
利用者さんの看取りにも積極的に取り組まれています。
医師、看護師、相談員、介護士それぞれの立場から医療と福祉の連携をテーマに意見交換を行いました。

光病院と音和の園の独自の取り組みとは

浜田 嘱託医として音和の園に勤務してもう10年くらいになります。施設での看取りにも積極的に取り組み、最終ステージの利用者さんのみならず、ご家族にとっても安心していただける環境づくりを心掛けています。光病院が独自に取り組んでいるのが、地域医療連携をシステム化してスムーズな流れを構築したことでしょうか。急変時や、必要に応じたバックアップ体制も整い、夜間、休日の受け入れ体制を取っています。

小林 音和の園はここ最近、看取りが増えています。そこで入所時に事前確認書をご家族に記入してもらい、最期をどうするか考えていただきます。そうすることである程度ご家族の方向性を把握でき、急変時も施設職員が判断に迷うこともなくなり、また先生に対してもご家族の意向を伝えることで、迅速な対応につながります。病院とは違い、特養に入所するということが一つのターニングポイントとして、ご家族に終末期を考えてもらう良い機会だと思います。

連携を取るために気をつけていること

髙橋 看護師は医療用語を使いがちですが、介護さんや相談員、ご家族にも伝わるようにわかりやすい言葉使うのは、特養ならではですね。共通語を使って皆さんの情報をできるだけ収集することで、先生の往診時に病状だけでなく、その人の環境も伝えられるように気をつけています。

猿谷 私は相談員としてご家族と接する中で、看護や介護をどのようにやっていくかということをかみ砕いてお話ししたり、またご家族の考えを介護職員に伝えることで、連携を取りやすくするように心掛けています。

陣内 介護主任として、普段のコミュニケーションを大事にしています。夜間帯は看護師不在ですから詳細に伝えます。また日常の会話の中で些細なことも共有できるように努力していま

す。利用者さんと介護職員と看護師さんとの会話が多いですね。その中から情報共有して、カンファレンスも多職種で集まり、重要事項を決めていくように心掛けています。

浜田 皆さん話したことを理解し、それに対するレスポンスも良いですね。紙ベースで伝えてくれたり、患者の様子を写真に撮ったりして、視覚化するシステムは非常に良いと思います。入居者のご家族にいきなり看取る話をするのではなく、スライドを作ってご家族に老衰までの段階と、病院で治療を受けると最期こういう面があるというのを視覚化することで理解しやすくなりますね。私自身も段階によって説明していますし、現状のかたちでいきたいと思っています。

問題点や今後の課題はありますか

小林 現段階では、事前確認書を取っていますが、最期は病院でというご家族もいますので、そういう方は病院と特養のどこに違いを求めているのかを把握して、できればご家族の希望に沿ったうえで、施設での100%看取りを目指していければと思っています。利用者さんの平均在園日数が1年くらい、長いと5年くらいありますので、特養の職員としては、ここで看取りたいですよね。病院に行ってしまうと最期までは一緒にいられないですから。

猿谷 特養はどうしても、連絡を受けてから医師が出向くことになりますが、24時間ドクターとナースがいる対応の早さと、医療的処置の面から病院を希望するご家族はいます。

髙橋 ただ病院の場合、医療機器に囲まれてご家族は寄り添えないんですね。できる限りお見送りができる形を作ってあげたいというのが私たちの理想ですが、病院の方が安心という「大病院思想」があるのは仕方がないことです。「音和ならこんなことができます」と、もう少し丁寧な説明の場を作ることが今後の課題かなと思います。それでも、本当に安らかなお顔で最期を迎える方に何人もお会いできました。それには音和のスタ

イルを支持支援してくださる浜田先生がいてこそ、穏やかな看取りができるのだと思います。ただ、音和での看取りを押し付けることもできないので、後方支援ベッドという形で、光病院への入院という選択肢もありますと提示するのも誠意ではないでしょうか。私としてはご家族ともう一歩進んだコミュニケーションが取れるようになればと思います。

陣内 特養なのでお家に帰れる方はゼロですよね。年間で50人中約20人の方がここで亡くなられています。ですから人生の最期をいかに楽しく穏やかに、ご本人とご家族がここでよかったと思える環境を作っていかなければと毎日感じます。看取りに力を入れていますが、ご家族も利用者さんも老衰とわかっていながら受け入れるのにすごく時間がかかります。私たちはそこに寄り添っていることが大事だなと思います。

猿谷 面会になかなか足を運んでいただけないご家族の場合、入所時と現在のずれができてしまいます。終末期に移行してADLが低下した状態を密にご家族に報告して、ご理解いただけるようにお話をすることは大切です。

藤岡市の医療・介護の地域性について

浜田 在宅介護の部分がすごく遅れているみたいですね。24時間体制の介護システムは山間部が広いこともあって対応が遅れているようです。藤岡市は平成28年で65歳以上の方が29・7%と高齢化が進んでいます。国の政策として在宅を進めるのであれば、光病院も参画できるよう努力していきたいと考えています。

小林 山間部の高齢化地域でそこに病院がなく、光病院に運ぶのに30分以上かかったりすることも。医療の拠点を作るとい

うことでは、まだまだ課題があるのかなと思います。

髙橋 やはり選択肢が狭いですね。最期は家で過ごしたくても物理的に難しくて、訪問看護を頼みたくても藤岡では困難で、望んでいなくても結局最期は病院になってしまうという現状があります。

浜田 往診や訪問看護は非常にハードルが高い。一つの施設だけでは厳しいけれど、医師会でまとまって地域の皆でやろうという流れになりつつあります。