介護特集

TOWN介護 FEATURE01

医療と看護・介護が連携して在宅ケアサービスを提案

    在宅医療を専門とするひだまり診療所の竹田先生、
    全国でも珍しい学校法人に設置された高崎健康福祉大学訪問看護ステーションの棚橋先生、
    患者さんの在宅への橋渡しを担う群馬県済生会前橋病院の多胡さんと齋藤さんによる座談会が開かれました。

訪問診療の立場から見る連携

竹田 医療は、診療所という限られた空間を中心に行われてきましたが、患者さんの家でケアや診療をするとなると、ケアマネジャー、訪問看護ステーション、診療所がそれぞれ介入します。情報がうまく伝わらないと、あちこちに電話をしたり、行き違いが起こったり。そういう意味での連携だと思うんですよ。コミュニケーションを取るのが得意な人はいいですけれど、必ずしもそうではないですよね。それが一番の壁になっていると思います。

棚橋 とは言え、皆がICTや情報機器を使えるわけではないですからね。

竹田 若い世代のケアマネジャーさんや医師は、SNSに慣れているのでやり取りができますが、年齢が上の世代になると、FAXや電子メールの方が使いやすいくて、SNSの利用がなかなか難しい。

棚橋 あとは、療養者宅で連絡ノートを置いてその療養者にかかわる職種が記録を残し、往診に行った先生がそこに書き加えるとか。昔ながらの方法ですが、一番確実ですね。

訪問看護ステーションでの課題

棚橋 人口で考えると、訪問看護ステーションが各地域にあるといいのでしょうが、思いのほか増えませんね。訪問看護師は、いろいろな病院で働いてきて、豊富な経験やさまざまな資格を持っており、人それぞれ土台や資質が違います。そのなかで、ステーションの皆を同レベルに教育することがなかなか難

しい。実際、ステーションによって質もバラバラです。

多胡 それぞれ特徴のあるステーションが多いので、私たちもいろいろなステーションの強みや持ち味をできるだけ把握しておく必要があるかもしれませんね。

齋藤 患者さんやご家族に喜ばれて、こちらもスムーズだった経験の中から、症状や疾患、ご本人の背景からマッチングを考えてお願いをしています。

在宅医療を行う医師や訪問看護師の数

竹田 在宅医療といっても、数多く診ている場合と少ない場合ではやり方が違ってきます。何十人も診ている診療所は高崎市で2つか3つくらいしかありません。一般的には外来を中心にやっている先生がほとんどです。外来をやっていると、待っている患者さんが10人20人といるなかで、「具合が悪いから往診に来てください」と電話があっても、20人を放っては行けないですよね。在宅専門のクリニックを増やそうという国の方針がありますが、国が推進しているからやるのではなく、興味があってやりたいということが大事ですね。

棚橋 訪問看護師の就業数は病院看護師と比べると多くはないのですが、訪問看護をやりたいという学生は学年で2、3割くらいいます。実際はその子たちがすぐ訪問看護に行くかと言えば、多くの学生は最初の就職先に病院を選択することがほとんどです。経験を積んだベテランではないと、訪問看護はできな

いという固定概念があって、看護師にとって訪問看護師として働くことに高いハードルがあるという印象が多くあるようです。

竹田  看護師で一番大事なのはコミュニケーション能力だと思います。

齋藤 コミュニケーションが取れて、ご家族やご本人と話すことができればいいと思うのですが。

竹田 在宅医療はチームの情報共有ができれば結構うまくいくので、ケアマネジャー、ソーシャルワーカー、主治医との橋渡しができることが大事。コミュニケーション能力は訪問看護師にとって重要なスキルです。

棚橋 在宅の技術は、病院と同じ技術を継続することでなく、療養者や家族が継続できるように変更することが大切です。たとえうまくいかなかったとしてもご家族としっかり話ができれば、関係性が良好になって次に繫がるんですよね。

在宅を望むニーズと現実のギャップ

齋藤 本音を言えば皆さん在宅を望むと思います。ただ、ご家族への遠慮はありますね。

竹田 具合が悪くなって、治る見込みのない病気にかかった時に、どこで過ごしたいかという国の調査がありますが、6~7割が自宅という結果なんですね。ただ、実際に家に帰れるのは1~2割です。家族の負担をどう軽減するかは、訪問看護や訪問介護、介護保険でのサービスだと思いますが、負担はゼロに

はなりません。そういう意味で、在宅というのは本人の帰りたい気持ちを最優先にかなえてあげたいけれど、家族も含めて協力して力を出し合わないと、実現しないのかなと感じます。

齋藤 やはり仕事を持っているご家族が多いので、患者さんの介護について担い手が問題になるケースもあります。介護する側が高齢者であることも多くなっており、介護保険サービスだけで補うことに心配を感じるケースもあり、インフォーマルサービスの利用も大事なのかもしれません。

訪問サービスにおける多業種の連携

多胡 職種を超えた連携についてはどうですか?以前は介護と看護など、職種のちがいをどう超えるかという議論を耳にすることもありましたが。

棚橋 気心が知れてお互いを認め合うような、チーム医療は皆で横並びということが浸透してきたという気はします。そういったチームでは先生にも患者さんやご家族のことを相談しやすいのではないでしょうか。看護師同士も病院と在宅では少し隔たりがあったり、ソーシャルワーカーもそうだったと思いますが、今では一緒にやっていかないと支えられないという考え方ですね。

在宅のニーズに応えるために

多胡 小規模多機能型居宅介護が整備された時は、サービスがフレキシブルでご自宅へ退院しやすくなったと感じました。小規模多機能と訪問看護、訪問診療の先生でチームを組んでいただき、最後まで家族が無理をすることなくご自宅で過ごすことができた事例もありました。

棚橋 まだ病院から在宅へ移行する間の施設が少ないですね。病院と在宅と老健はあるけれど、その間の小規模多機能型等に機能を持った施設の選択肢がさらに増えると、家族の負担感が減るのではないでしょうか。いろいろな家族があるように、いろいろな選択肢があっていいのでは。訪問看護というサービスも含め、利用しやすい施設が増えるといいですね。