介護特集

TOWN介護 FEATURE01

医療法人健英会 有床在宅療法支援診療所 うしいけホームクリニック
有床在宅療養支援診療所を併設したサービス付き高齢者向け住宅を新設し、新たな事業を展開する医療法人健英会。医療、介護、住まい、相談など多くのパーツがそろった複合体の施設を目指します。

高齢者・地域の方が安心して入院できる垣根の低い病床を提供

新診療所を立ち上げた目的は

小中 今、国をげて地域包括ケアシステムが提唱されています。高齢者に住み慣れた地域で、末永く健やかに過ごしていただくという考えですが、これは私ども医療法人健英会の理念でもあります。地域の事業所がそれぞれ懸命に取り組んでいますが、相互に包括的な連携を取って地域を支えていくには決して十分とは言えない現状です。そこで、私たちが法人として診療所、老健施設、通所リハビリ、在宅医療等を運営していく中で、さらに足りない部分を補う新たな展開通して、地域の事業所を繋ぎ、患者さんやご家族に満足していただける体制を作ることが大きな目的です。

 実際に地域の皆さんと関わる中でいくつかの具体的なニーズが上がり、それが在宅支援有床診療所という形となりました。厚労省が推進する在宅医療は、訪問介護事業所を含め24時間の支援体制です。具合が悪くなった時、高齢者や地域の方がいつでも安心して入院できる受け入れ先を整えることが必要になります。従来であれば医師の見立てが無いと入院できない、はっきりとした病名が付かないと入院施設に行けないということでしたが、実際それでは困ってしまいます。何となく具合が悪い時に、複雑な手続きの無い、どちらかというと敷居の低い、

気軽に相談できる身近な相談事業所として機能し、地域に提供したい。それが今回の動機になっています。

 また、多くの在宅医や訪問診療医にとって、主治医として1人で24時間患者さんを受け持つことは非常に大変です。軽度の方を紹介しやすい垣根の低い病床を私どもが提供することで、通常の在宅医療がスムーズに、無床診療所の訪問診療医にも活用しやすいように後方支援病床を整えてく。これからはチームで訪問診療を支えていくことで、それぞれの負担が軽減され、何より患者さんに寄り添ったケアができると考えています。

 急性期の大きな病院群は、入院期間が2週間と非常に短いため、実際のところ高齢者には不向きです。病院群の皆さまにとっても後方支援ができるような中間的な役割が担えればと思っています。

 これは、患者さんやご家族のためでもあります。高齢者を看て疲れたというご家族も多いと思います。いきなり在宅で医療を始めるのも大変な負担です。そんな時にレスパイト機能を持った入院やショートステイ的な入院もできることになります。これらが今回新しいタイプの診療所を立ち上げた目的です。

診療所独自の取り組みは

中村 長い間、地域の勤務医を経験し、急性期で治療をした後に退院した患者さんやご家族に話を聞くと、まさに生活に困窮しているということです。勤務していた病院は富岡市の公立病院で、そのクッション的な役割を担っていました。意外にも医療が充実している前橋市にそういった機能がまだ十分に整備されていません。医療面だけでなく、生活面からすべて一緒に考えていかないと、うまくいかないのは現場で実感しています。これまでの経験を踏まえて、トータルケアのできる良い土俵を与えていただいたと感じ、少しでも力になればと就任しました。

 診療所の機能としてはプライマリケアはもちろん、医療連携の強化です。今や医療は他職種です。1人では賄えない部分を地域の先生方と横の連携を取り、顔の見える関係性を構築したい。私は以前から胃ろうのネットワークでも活動させてもらっていますが、前橋市もネットワーク化した取り組みがあるので、得意分野を生かせたらと思います。診療所が地域の保健室のように気軽に立ち寄って健康話をしたり、情報交換の場にできればうれしいです。

地域包括ケアシステムに向けて

田角 高齢者介護の現状として、医療依存度の高い方の居場所が少ないという現状があります。それを踏まえて、新たな受け入れ先として、24時間の訪問看護、訪問介護、訪問リハビリを兼ね備えたサービス付き高齢者向け住宅の整備を進めています。これらのサービスを利用しながら医療が必要な方でも安心して生活を支えて行くことを考えています。また、診療所の横に地域交流サロン「〇(えん)むすび」を設置しました。介護や

地域の困りごと相談窓口や高齢者が気軽に立ち寄れる場所のひとつにしたい、というのがコンセプトです。医療と介護の手前の、いつでも元気に暮らすための介護予防、認知症予防にサロンを活用したいですね。地域包括ケアシステムの中で医療、介護、住まい、相談、いろんな要素が盛り込まれた、いわゆる複合型の施設として、私たちも存在感を発揮していければいいなと思います。

他の医療法人や介護事業所の連携

中村 新診療所の立ち上げのきっかけが連携から見えてきた課題やニーズでした。今回の新事業が、医療法人や介護事業所の連携先として活用してもらうことが期待されます。今後、さらに連携を深めるために、どんな事業所にも間口が開かれていることが大前提で、なおかつ待っているだけでは連携は進まないので自分たちからも歩み寄る、そしてそれぞれのニーズにしっかりと応えていく、この3つをしっかりやっていくことが連携に繋がっていくと思います。