介護特集

TOWN介護 FEATURE05

東前橋地域の中核病院としての役割を担う善衆会病院。顔の見える連携を実践し、細やかな努力によって安心と信頼を築く地域医療連携室の取り組みをご紹介します。

顔の見える関係性が実を結びスムーズな連英で患者を支援

 地域医療連携室の充実

 

 地域医療連携室の役割は、病院で受け入れる時点の前方連携と、退院前後を支援する後方連携とに大きく分けられます。善衆会病院では看護師1名、MSW(医療ソーシャルワーカー)6名体制で、他病院からの転院や緊急紹介のマネージメントを行っています。また、高度急性期病院での治療後のワンクッション入院の手配、リハビリ後の在宅復帰や施設紹介に関する支援を行っています。近隣の医院へ営業周りをすることもしばしば。高度急性期病院にも伺い、転院前の患者様やご家族、それまで関わっていた現場スタッフと直接面会し、きめ細やかな、かつ心のこもった対応を心がけています。顔が見えると安心感につながり、そのことで大幅に受け入れ件数を伸ばしました。「今後もできる限り時間をとって続けていきたい」とMSWの山崎さんは自信をのぞかせます。

 受け入れの判断を下すのは医師。看護師の兵藤さんは、長年勤めた脳外科病院で退院支援に単独で携わっていました。

   

 その経験を活かし、先を見通したうえで正確に病状を聞き取って医師に伝えます。患者様の紹介の場では通常MSW同士で情報交換を行いますが、ここに現場経験豊富な看護師が介入することで、より正確な病状や見通しが双方に伝わり、円滑かつ安心な連携につながっています。

 また、退院前後の方向性を担う後方支援には特に力を注ぎます。新規入院の人数と退院人数を推定し、しかも退院時には安全かつ満足度の高い環境を整えることは至難の業です。独居の方、福祉サービス介入が手薄な方には、MSWが知識と能力を駆使し、最善の環境に向けて努力を行います。在宅サービスを利用した1人暮らしや、在宅が難しいとなれば入活保護を考えるなど選択肢を増やしていきます。介入の前段階で患者数の情報を把握していればあらかじめ用意ができ、その後の時間の使い方が違ってくるというわけです。

 訪問胃ろう交換を介した地域包括

   

 当院の地域医療連携室は、前橋東部地域の訪問胃瘻交換の窓口にもなっています。当初、栄養療法ネットワーク・前橋の1事業として訪問胃瘻交換の事業を立ち上げましたが(担当医群馬大・吉野浩之 医師)、利用者の増加とエリア拡大とで分担化が不可欠となりました。平成26年5月から、前橋の西半分の拠点連携室を群馬中央病院、東半分の拠点を善衆会病院と定め、西を吉野医師、東を当院外科の荻原医師が担当することとなりました。分業化により往診効率が高まり、より地域密着性が高まりました。以前から善衆会病院と周囲介護施設、提携する歯科・調剤薬局からなる地域連携の協議会・勉強会の場が確立されており、「前橋東部地域の顔の見える連携が出来上がっていたため、訪問胃瘻交換もスムーズかつ安全に導入できた」と荻原医師は振り返ります。

 訪問胃ろう交換のメリットは、人的な時間を取られないことや患者自身の身体的な負担の軽減が挙げられます。外来の場合は大抵、患者1名に対して運転手と看護師の2名が付き添います。受け付け後の待ち時間と移動時間を加えれば掛かる時間は

施設を訪問し、患者さんの胃ろう交換を行う荻原医師と看護師
 

半日以上。患者への身体的負担はもちろん、その間、スタッフを取られてしまう施設側にも負担がかかります。逆に、紹介状や同意書など事前に必要となる書類の事務的な手配が多々ありますが、それと引き換えにしても訪問胃瘻交換の導入で介護施設の人的・時間的労力が大幅に軽減され、前橋東部地域を包括すると大きな福音となりました。

 訪問は毎週木曜日に決められ、外科医の荻原先生、内視鏡室の看護師1名、連携室から1名が同行して3名体制で回ります。訪問胃瘻交換の場でも、連携室は大活躍します。①胃瘻のタイプやサイズ、交換時期を把握する②診療情報提供を嘱託医とやり取りする③施設スタッフやご家族への連絡を行う④効率的な交換ルートを策定するなど、業務満載ですが連携室の陰の支えで安全かつ信頼性の高い胃瘻交換が実現します。平成26年度の訪問胃瘻交換の恩恵を受けた施設は13施設、利用者は延べ83名に上り、今後も増える見込みです。利用者さんの笑顔、介護施設やご家族の喜びの声を糧に、地域にますます貢献していきます。

訪問胃ろう交換を導入し、施設との連携も深まって、善衆会病院が提供する地域連携は右肩上がりです。同院の今後の取りくみとしては「リハビリ栄養」を推進。成果のあるリハビリで全病院をあげて患者さんの早期回復を目指します。

未来を見据えた新病院への抱負

地域医療連携室がベッドコントロールを行っているのも当院の大きな特徴です。来春に開院する新病院の建設にあたり、入院前から退院後まで地域と連携しながらシームレスなケアが行えるように取り組み強化します。「これまで同様、ベッドコントロールのかなめとして救急の患者様を含め、より多くの方々に介入できるよう一層努力していきたい」と抱負を語る兵藤さん。山崎さんは「一医療機関として地域に密着して、近隣のケアマネージャーさんとの連携を強化していきたい」と思いを伝えてくれました。

【医療法人社団善衆会 善衆会病院について】

当院は、泌尿器科の単科病院として昭和58年4月に開設いたしました。その後、診療領域を泌尿器科、整形外科、内科、外科、透析、リハビリテーション領域にまで拡大し、設立後30年にわたり、前橋同部地域の中核病院として、住民の皆様に信頼される病院となることを目指してまいりました。

【50年先を見据えた医療を目指して】

善衆会病院は、さらに地域医療に貢献できるよう50年先を見据えた医療を提供していきます。その第1歩として、平成28年には新病院を新築オープンさせます。まずは、この先10年の変化に対応すべく、環境に配慮し、高度な医療設備をもとに、新たな地域の診療拠点としての重鎮を担います。